バートン・マルキール他(2018)『投資の大原則』(日本経済新聞社)|アナリストの読書感想文

マルキール『投資の大原則:人生を豊かにするためのヒント』を読みました。

投資の仕事をしている私にとっては、ごく基本的なありふれた内容だと思いましたが、投資や資産運用を勉強中の人には最低限知っておいてもらいたい内容です。

ただ、村上世彰氏のいま君に伝えたいお金の話をもう少し専門的にしたような内容ですので、初心者の方には、いま君に伝えたいお金の話の方が理解しやすいと思いました。

➡️読書レポ|村上世彰(2018)『いま君に伝えたいお金の話』

バートン・マルキール他(2018)『投資の大原則』(日本経済新聞社)

投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント

『投資の大原則』は、プリンストン大学名誉教授のバートン・マルキールと大手機関投資家向けコンサルタントのチャールズ・エリスの共著である。

2010年に出版された初版に、リーマンショック後の投資環境について述べた第Ⅵ章が追加されているが、彼らは、初版における主張がリーマンショック後の環境においても通用することを再確認し、その確証を示している。

参考:バートン・マルキールは『ウォール街のランダム・ウォーカー』、チャールズ・エリスは『敗者のゲーム』などは、古くから長きにわたって読み続けられている良本で、投資に関わる人には必ず読んでもらいたい一冊だ。

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第1章:貯蓄の重要性

第1章では、貯蓄の重要性について述べている。

  1. 再投資(複利)の効果
  2. 72の法則(X:お金が2倍になる年数かけるY:リターンの年率が72になる)
  3. 日々の節約(変動費の削減)や大きな節約(固定費)の削減についての具体的なポイント
  4. 税制控除の活用

などについて述べた上で、「今すぐ節約を始めよう」と締めくくる。

第2章:基本はインデックス運用

第2章では、基本的な運用手法として「インデックス運用」について述べている

  1. インデックス運用が優れている点についていくつかの観点から解説
  2. 注意点として手数料などをしっかり確認すること

「アクティブ運用よりもインデックス運用の方が優れている」と主張する

第3章:分散の重要性

  1. 証券の分散
  2. 市場の分散
  3. 時間(タイミング)の分散
  4. リバランスでリスクを軽減

第4章:大損失を避けるために

  1. ミスを最小限に止めること
  2. 予想は考えに入れないこと
  3. 投資コストを最小限に抑えること

第5章:KISSポートフォーリオ

長期運用を成功させる基本的なルールを『KISS(Keep It Simple, Sweetheart)』と名付けて解説する。

  1. お金は若いうちから定期的に貯金しよう
  2. 国と会社に資産形成を手伝ってもらう(401kの活用など)
  3. 不備の出費に備えて、現金は用意しておこう
  4. 保険を確認しよう
  5. 分散投資をしよう
  6. 年に1度リバランスをしよう
  7. ローンは使わない
  8. 短期的な衝撃を無視して、長期投資をしよう
  9. 低コストのインデックス・ファンドを使おう
  10. 目新しい旬なテーマを避けて、オーソドックスなテーマに投資しよう

ライフステージに合った投資

  1. 自分の年齢、資産、性格を知ろう
  2. リタイア後の投資の進め方

時間がない人は、まず5章から読まれてもいいかと思います。

第6章:大暴落時でもこの主張が正しい

2010年の初版に追加された第6章では、リーマンショックの大暴落時においても、これまで主張したKISS投資などが有効であることを再確認して、その根拠を論じている。

  1. ドル・コスト平均法
  2. 分散投資、リバランス、インデックス運用が有効であったこと

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