村上世彰の投資手法:重視する3つのポイント

村上世彰氏が重視する3つのポイント

村上世彰氏は、日本を代表する著名な投資家だ。1983年から、通産省などにおいて国家公務員として16年間ほど務める。

その後、「プレーヤーとしてコーポレート・ガバナンスを浸透させることで日本経済を変えたい」との思いから村上ファンドを作った。しかし、2006年6月、ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引を行った容疑で逮捕され、のちに執行猶予つき有罪判決を受けた。

以後、表舞台から姿を消したが近年株式取引の世界に復帰しており、その動向が注目されている。

重視する3つのポイント

    1. 期待値が1.0を大きく上回ること
    2. IRR(内部収益率)が15%以上であること
    3. 定量情報を重視したリスク査定

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期待値の重要性

「割安に評価されていて、リスクの度合いに比して高い利益が見込めるもの、すなわち投資の期待値」が高いものに投資すること」『生涯投資家』村上世彰(2017)58p

例えば、多くの投資家は、リスクが高い場合や勝率が低い場合には投資を避けることが一般的であるが、これらは村上氏の投資判断の軸となる「期待値」とは全く異なる概念である。

勝率が低いと言われる場合でも、自分なりの戦略を組み立てることで、勝率を一定としたまま、期待値を上げることができる。

村上氏は、全てが期待値による判断であるため、リスクや勝率がどうであれ、トータルリターンが1.0を大きく超えるかで判断する。

余談:宝くじ、ギャンブル、カジノの期待値は?

「この期待値という観点から割り出すと、宝くじは0.3、公営ギャンブルは0.78、カジノは0.9強となる。これらは期待値1.0を下回っているので、私は手を出さないことにしている。」『生涯投資家』村上世彰(2017)58p




IRR(内部収益率:Internal Rate Return)

「手堅く見積もってもIRRが15%以上であることが基準となる」『生涯投資家』村上世彰(2017)59p

IRRは、投資期間中に受け取るリターンも考慮して計算されるため、短期の案件の方が数値が高くなる傾向がある。そのため、IRRは投資額の何倍を回収できるかといった倍率ではない。

このIRRを重視することは、村上氏が「資金循環こそが将来のお金を動かす原動力だと信じている。(中略)資金循環は成長する上で非常に重要だ(同59p)」とする姿勢に通ずる。こうした資金循環が期待できる案件では、必然的にIRRが高くなる。

リスクの査定

経済学的には、投資におけるリスクとリターンの度合いは見合っていて、リスクが高ければリターンも高く、リスクが低ければリターンも低くなる。

「リスクを査定する際には、定量的な分析よりも定性的な分析が重要なポイントとなる。数字や指標の判断よりも、経営者やビシネスパートナーの性格や特徴を掴むことだ。」『生涯投資家』村上世彰(2017)60p




コーポレート・ガバナンスコードの徹底

『私が目指してきたことは常に「コーポレート・ガバナンスの浸透と徹底」であり、それによる日本経済の継続的な発展である』『生涯投資家』村上世彰(2017)276p

投資家の大切な役割のひとつに「投資先企業の経営を監視、監督すること」があげられる。投資家は、自らの投資に対するリターンを最大化するために、経営者に事業運営を委託している、そのため、投資家は、経営がきちんとなされているかを監督することが重要な仕事となる。

このような、投資家が経営者を監視する仕組みのことをコーポレート・ガバナンスといい、村上世彰氏がその浸透を目指してきたことである。村上世彰氏は、日本企業の改革のためには、株主からのガバナンス、「物言う株主」が必要であると主張している。

私も日本企業の改革のためには「コーポレート・ガバナンス」が最も重要であると考える。

以下の著書は、おすすめです。

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